旧じぇーしん日誌(~2013.10)

日本商品を中国に売り込んでます

上海の国際食品博「SIAL CHINA 2013」に行ってきた

 

上海で毎年5月に開催される国際食品展示博「SIAL CHINA 2013」に行ってきました。

(2013年5月7~9日、URL:http://www.sialchina.com/

 

f:id:kane201:20130511174345j:plain 世界中から食品バイヤーが集うはず

 

今年も各国がパビリオンを設置し、自分とこの産品を中国市場に売り込もうと元気にPRしていました。もちろん個別企業がブース出店しており、現地バイヤーと商談をし、調理パフォーマンスやワインの試飲、テイスティング講座なども行われていました。

 

f:id:kane201:20130511174334j:plain ワインは試飲し放題!

f:id:kane201:20130511174320j:plain 調理パフォーマンス。その後試食

 

国別パビリオンを見渡すと、やはり台湾、韓国が一番目立つ位置に構えており存在感がありましたね。ここ最近の中国市場での売り込み具合からみても当然でしょう。国からの援助もばっちりあるようで羨ましい限りです。

 

f:id:kane201:20130511174313j:plain 台湾パビリオン

f:id:kane201:20130511174318j:plain 韓国パビリオン

 

あと個人的に気になったのは、新興市場のトルコとブラジルのブースでしょうか。特にトルコはフランスやイタリア、スペインなんかよりも大きく作られており、例年になく売り込みに力をいれていたような気がします。

 

f:id:kane201:20130511174347j:plain トルコ。結構お菓子とかも多い

f:id:kane201:20130511174349j:plain ブラジル。南米勢ではダントツに目立っていた

 

個別企業ブースでも、中国国内や近隣国からの出展ブースがたくさんでていました。

 

f:id:kane201:20130511174332j:plain 

中華圏では絶大な人気を誇るお菓子ブランド「張君雅 小妹妹」ブース。キャラクターのきぐるみは写真撮影で人だかりでした。こういう見せ方はベタながら大事ですね。

 

f:id:kane201:20130511180848j:plain

中国でも人気のロッテ。といってもこっちでは完全に韓国企業という認識ですが。ちなみにロッテは中国語で「楽天」、なので日本の楽天が中国に来たときは「楽酷天」にしたんですな。

 

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なんかドラえもんグッズがずいぶんありましたけど問題ないですかね。特にクレジット表記は見当たりませんでしたが。大丈夫ですよねきっと。

 

さて肝心の日本は何処に・・?ということでパビリオンを探しました。

 

f:id:kane201:20130511174336j:plain 日本JETROブース

 

他国と比べると小規模ながら、無事日本の看板をつけたブースがあって良かったですね。ホントに。日中関係に影響を受けまくる業界だけに、ここ最近は日本からの食品輸出がかなり大変な状況にあります。リスクが高い中で、日本企業の足取りが重いのもしょうがない面もありますね。とはいえ、今回のようにJETROさんをはじめ、こういう国や団体のサポートは今後もぜひ継続していただきたいもんです。

 

来年は日本ブースもがっつり大きいのを作りたいですね。

日本企業の皆さんもぜひ上海にお越しください!

 

 

お父さん、中国へは単身赴任でお願いします

 

なんだかほっとけないニュースがあったので少しだけ。

 

【47NEWS】中国赴任「家族一緒に」は12% 欧米45%、鳥インフル影響(13.5.4)

 「転勤先が中国なら単身赴任で」―。世論調査会社「日本リサーチセンター」(東京)が行った中国に対する意識調 査によると、転勤先が欧米なら約45%は家族が一緒に行くと答えたが、中国では約12%にとどまった。微小粒子状物質「PM2・5」や鳥インフルエンザウ イルスなど中国の環境面への懸念が背景にある。・・・ 「中国駐在となったら家族は同行するか」の質問に「子ども・家族は一緒に行かず、単身赴任とする」が50・7%と最多。「家族で一緒に行く」と答えたのは12・1%。

 

約9割の家庭が中国には単身赴任でと。避けられたもんです。世のお父さん達はどう思ってるんでしょうかね。

 

最近、上海の日本語フリーペーパーなんかを眺めていると、日本語教師の先生とか日系幼稚園の先生とかの募集記事がズイブン多いと感じます。またかつては入園希望が殺到した日系幼稚園も、今年はずいぶん園児が減ったので抽選すらなくなったという話も耳にしました。大人も子供も減っているんでしょうか。

 

先日、上海でベビー用品を扱ってる日本人の方が言ってました。「日本人駐在妻なんかをターゲットにしてる赤ちゃん向け商品は売上が激減した。その上の子供用くらいになれば売上はそんなに変わらないんだけどね。やっぱり小さい赤ちゃんがいる家庭は今の中国では耐えられないのかもね」・・・周りに聞いても、大方こういう意見が多いです。

 

f:id:kane201:20130507195928j:plain 子供は心配・・・

 

そんなわけで、単身赴任のお父さんは中国で一人頑張って働き、連休の時だけは愛する日本の家族の元に帰るわけですね。・・と思ったら、ゴールデンウィーク前、単身赴任のお客さんと話をしていて、「連休は日本に戻られるんですか?」と聞いてみたところ、「いえ、妻から円安で航空券が高くつくからGWは帰ってこないでと言われちゃいまして・・・」と力なく返答され、しばし沈黙の時間が流れてしまいました。

 

せめて帰らせてあげて!

 

以上です。

 

 

 

上海に「江戸町」なる日本食街がオープンしていた

 

上海某所にある日本食ストリートに足を運んでみました。

 

f:id:kane201:20130429201052j:plain 『江戸町』

 

去年オープンしたショッピングセンターの2F、アパレルブランドが立ち並ぶ横にかなり唐突感のある日本空間。ちょうど行ったのが真っ昼間だったせいか人はほぼいませんでしたが、夜はどうなんでしょうかね?ちなみにこの『江戸町』、中国人経済ジャーナリストとして著名な莫邦富さんのコラム(ダイヤモンド・オンライン)でも過去に紹介されています

(参照)上海で再現される日本風商店街 政治はごたついても高まる日本食への投資熱

 

莫さんが視察されたのは昨年5月頃、その後中国では尖閣諸島国有化に伴い反日デモが激化し、上海では暴動こそ起こらなかったものの、「日本」の表記は極力避けられる時期が続きました。そうした時勢の影響もあり、おそらくこの『江戸町』も出鼻をくじかれ逆風下で相当苦しめられたんだろうなー・・と想像できますね。

 

f:id:kane201:20130429210028j:plain 店名が『浅草』・・

f:id:kane201:20130429201647j:plain 人通りはあまり・・

 

そうはいっても、ここのところの日中関係の落ち着き?を見計らってか、6月にグランドオープンという告知がありました。それまでにまた店でも増えるんでしょうか。同建物の地下には丸亀製麺すき家も出店してましたし、この辺りの人の流れは今後注目かもしれませんね、正直今は微妙ですが。

※場所は→上海弘基时尚生活中心2F(普陀区铜川路68号)

 

f:id:kane201:20130429201952j:plain 6/15盛大開業!・・なのか

 

以前のブログでも取り上げましたが、上海では日本くくりのショッピングスペースやレストラン街が結構たくさんあります(参照 『乱発ぎみの日本式ショッピングモール』)。なので今もテナント誘致の話なんかウチにも来たりするんですけど、日本企業はだいたいが及び腰です。こういうある程度長いスパンの事業ですと、先方は「今はよくても、日中関係はどうなるかわかりませんから・・」ってネガティブな回答が多いです。

 

『江戸町』については、見たところデザイン設計以外は日系企業は絡んでないっぽいです。しかし改めて思いますが、こういう中国で「日本文化」を売り出す事業はもっとどんどん日本企業が関わっていきたいもんです。せっかくの優位性ある『武器』ですし、みすみす現地の方々に使われるのはもったいないでしょう。また日本が育んだ文化・アイデアは正しく」「効果的に」「丁寧に中国人消費者に伝えていかないといけないと感じました。それはソフトサービス全般にも言えることですよね。例えば・・

 

f:id:kane201:20130429202616j:plain み、みきゃん・・?@脱ぎ捨てられてる

 

ゆるキャラも大事に売り込みたいものです

 

家族構成を教えてください!!

 

先週、メルマガ執筆者3名での上海ビジネスセミナーを開催しました(http://www.gml-sh.com/seminar20130419.html)。第1回ということでしたが、有料セミナーでありながら当初予定の50名を上回る約70名の方にお集まりいただきました。ご来場いただいた方、誠にありがとうございました。第2回も絶賛計画中です。

 

さて、今回のセミナーでは、最後に30分ほどQ&Aのコーナーをもうけ、事前に会場の皆さんから頂いたアンケートにお答えする時間がありました。その中で一つ、「おやっ」と思う質問がありました。一言です。

 

「家族構成を教えてください」

 

Q&Aの時間は限りがあり質問数も多かったので、というか少し余談だったこともあり当日はスルーしてしまいましたスミマセン。とはいえ、例えば私が聴講者だったとしても、駐在という形ではなく「中国に乗り込んでビジネスを展開している日本人」の話を聞くに当たり、確かにまず最初に聞いてみたいことだよなと思い返しました。

 

一般的に、海外で働く人にとって、パターンはまぁ3つなわけです(男性視点)。

  1. 妻(+子)を連れて海外で一緒に暮らす
  2. (+子)を日本に置いて海外単身
  3. 独身

独身者はもう自由に好きに頑張れるだけ頑張ったらいい、という話でしょうが、1、2については日常生活で家族のケアにも十分注意を払わなくてはいけません。現地で奥さんをみつけた人はまた違ってくるんでしょうけど。

 

先日、某取引先の駐在者の方がある悩みを打ち明けてきました。その会社はまだ上海に現地法人をもっておらず、彼は中国事業の立ちあげ要員として昨年単身で上海にやってきました。日本人社員1人で中国事業の拡大に奮闘中です。ところが、その方はいま本業以外のところで悩んでいます。理由は、「中国の長期休みしか日本に帰れないから」だそうです。彼は日本に奥さんと生まれたばかりのお子さんを残して単身赴任をしています。奥さんが外国人ということもあり、日本で頼れる人も少ない。時間があればSkypeなどで連絡を取り合っていますが、彼も日本のご家族も不安定な精神状態が続いています。現在本社とかけあって環境の見直しを図っているようですが、こうしたケースはやはり本社のサポートがあっての話でしょう。

 

f:id:kane201:20130427131037j:plain 家庭も大事!

 

上記は駐在者のケースですが、中国で起業をしたような方でも、家族の関係で帰国を余儀なくされる人は少なくありません。「妻がもう中国生活に限界・・」「子供の教育は日本で・・」「親の介護で・・」 理由は様々です。よく起業前の人に対して、「家族を説得できないような人間が起業しても成功するわけがないぞ!」というようなことを言われますが、逆に言えば「家族のサポートなくして仕事は成就しないでしょ」という話です。そうですねハイ。

 

海外で仕事をする人達は、皆それぞれ自分の家族の“寛容な理解”を得て仕事をしています。イヤ俺は違う!とか言う人は傲慢で周りが見えていません。家族の理解あってこその仕事環境と認識してはじめて、自分のタイムリミットを理解しつつ仕事に邁進できるわけです。その意味では、その人の家族構成を聞くていうのは実は大切なことだよなと改めて思ったんですね。案外あなどれない質問です。

 

そんなわけで冒頭の質問、私の回答は上記の1に当たります。他のお二人については、・・・えー、もしかしたら機密事項かもしれませんので、ご本人に直接聞いてみてください。

 

 

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難しい問題から解き始める覚悟がありますか

 

「テストを受ける時、難しい問題から解き始める生徒と、簡単な問題から解き始める生徒がいる。しかし試験に受かるのは、簡単な問題から解く生徒だ。」

 

先日、某クライアントの方から聞いたお話です。又聞きなので細かい言い回しは知りませんが、この発言、日本の某会合で大手食品メーカーの役員の方がおっしゃったセリフだそうです。何を言ってるかというと、日本企業の海外進出と、中国市場の関係を表した例えなんですね。正直、上手いこと言うもんだと感心してしまいました。

 

毎年5月、上海では「SIAL CHINA」という国際食品展示博覧会が開催されています。世界中の食品が集まるBtoBイベントですが、今年はここに日本ブースが設けられません。理由は、運営を務めるJETROの公募に参加する企業が集まらなかったためです。昨年までと違い、参加費用がかかるといった違いはあるとはいえ、中国本土市場に対する日本企業の“変化”を象徴する出来事だと感じています(もちろん、個別でブース出店をする日本企業はあると思います、知りませんけど)。

f:id:kane201:20130417181627j:plain 昨年の日本パビリオンブース

 ※2013のURL→http://www.sialchina.com/

 

でもって、ここのところ中国に対する不安要素は経済だけに及びませんよね。

 

尖閣諸島の反日デモ⇒基準値超えの大気汚染⇒豚の死骸が浮かぶ河⇒鳥インフルエンザ⇒???。これ、わずか半年足らずでの出来事です。次はいったい何が攻め込んでくるのでしょうか。中国人スタッフは「最近の鳥インフルエンザは10年前SARSが流行り始めたころによく似てますネ!」とか平気な顔で言ってきます。うーんたくましい。

 

中国はいろいろ面倒です。またいつ事件が起こるかわかりません。まずは簡単な問題(他の国)から解き始めたほうがいいのかもしれません。機を見るに敏なコンサルタントは、かつては「中国進出支援」を売り文句とし、いまは「中国撤退コンサル」「ASEAN進出支援コンサル」を標榜しています。変わり身の早さも商売には大事でしょう。

 

一方で、実はここのところ、他業種の方から進出相談案件を多数いただきます。ITや広告やインフラ業界の方々など様々。皆さん日本で本業をしっかりされつつ、中国で新規事業を模索されているようです。 率直な疑問として、「なんでいまこの時期に中国に来るんですか?」と質問しました。すると、「何言ってるんですか、今こそチャンスでしょ」「私、逆張りが好きなんですよ」というアグレッシブな答えが返ってきます。僭越ながら、こうした精神こそ、彼らが日本で一定の成功をおさめた要因なんだろうなと思えるわけです。

 

f:id:kane201:20130417182627j:plain 中国の市場はこんなの普通!

参照:http://china.northnews.cn/2013/0406/1080671_2.shtml


中国はいま多大なリスクを抱えつつ、それでいてカオスにチャンスが溢れる国です。万華鏡のように見方次第で様相を大きく変え、人によっては大きな恩恵を、人によっては取り返しのつかない損失を与える国です。こうした現実を知ると、私も日中の間で仕事をしている立場ですが、渋る企業の尻をひっぱたいて「中国を!中国を!」と 言い続けるのもなにか違う気がしてきます。他人任せの会社はどのみち失敗します。一方で、どれだけネガティブ要素があろうと、リスクを取って中国市場に立ち向かう企業さんは一定数あるのです。そんな彼らを個別で一本釣りし、しっかりサポートし、一緒に市場開拓していくことこそ、当社のミッションであり生き残る道なんですよね。長々つらつらと書きましたが、ただこれだけが言いたかったので新年度一発目のエントリーを書いたのでした。

 

そんなわけで、難しい問題、がんばって解いていきましょう。

 

【訂正】4/23

SIALではJETROブースは小規模ながら設置されることになったようです。

 

 

 

成長続ける台湾系スーパー「RTマート」の強み(メルマガ転載)

 

※今回は、メルマガ『江口、金子、富井の「心理学とロジックで考える中国ビジネス』の2013年1月22日発行号で掲載された私のコラムを、許可を得て一部加筆・修正し掲載します。

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今回のテーマはRTマート(大润发)という台湾系スーパーについてです。

中国チェーンストア経営協会が発表した「2011年外資系チェーンストアランキング」において、カルフール(家乐福)やウォルマート(沃尔玛)を抑えて中国国内の売上総額トップを誇る店舗です。なぜ同社が中国人消費者から強い支持を受けているのでしょうか?小売のエキスパートである富井さんからは本メルマガ内で専門的な分析をして頂いていますので、私からはその前段として、イチ消費者的な視点、また出入り業者的な視点からRTマートの成長の秘密を考えてみたいと思います。

 

f:id:kane201:20130329152318j:plain

中国チェーンストア経営協会HP(http://www.ccfa.org.cn/)より一部抜粋

 

上海市中心部に住む人達にとって、もっとも馴染みのある外資系大型スーパーといえばカルフールです。同社が「都市部出店」で攻勢をかけている一方、RTマートは「郊外出店」を戦略としているため、都市部に住む私達のような外国人にはどちらかというと馴染みが薄い存在です。

 

ちなみに私がRTマートに初めて訪問した際の第一印象は、「店内が明るいな」でした。地元のスーパーや現地化に根ざしたカルフール等は、私の目からみると店内がどこか薄暗く、商品が煩雑にぎっしり置いてあるイメージです。一方で、RTマートは店内を明るくし、全体的に管理が行き届いている印象を受けました。例を挙げれば、「商品が整然と陳列されている(つめこみ型の陳列ではない)」、「POPに統一感があり見やすい」、「魚が泳ぐ水槽の水がキレイ」、「水槽内で死んでいる魚が少ない」、「肉や魚の生臭さが店内に充満していない(店内が無臭に近い)」、「生野菜の鮮度を落とさないよう常時霧ミストがけしている」・・・など、ある種日本では当たり前に行われている配慮もこちらの現地スーパーでは対応できていないことが多い中、RTマートはその点をしっかり取り入れている印象でした。

 

余談ですが、私は職業柄、小売店に入ると必ず輸入食品を探してしまうのですが、RTマートの店内に輸入食品はほぼ見かけませんでした(店舗によって一部異なると思いますが)。低価格をウリにする同社では高価格になりがちな輸入品はそぐわないという判断でしょう。将来的にはわかりませんが、当面RTマートは日本からの輸出商品の販路としてターゲットにはならないと考えたほうがよいでしょう。

 

f:id:kane201:20130329151415j:plain 大润发の外観

 

ちなみに、出入り業者的な視点でみると、意外にも食品売場内で販促員がそれほど多くなかったことに少し驚きました。というのも、時間帯にもよるでしょうが、カルフールなどはピーク時にはメーカー派遣の販促スタッフであふれます。小売店の立場が圧倒的に強い中国において、小売店側が出す取引条件の厳しさはしばしば問題になりますが、売り場への販促スタッフの提供もその条件の一つと言われています。もちろん、販促スタッフが自社商品をPRすれば売上増につながります。しかし、各社からのスタッフがあまりに多いと、スタッフ同士が雑談に興じてしまい販売に身が入らなくなるという声も聞かれます。RTマートの取引条件等の詳細はわかりませんが、カルフールよりは比較的緩やかといわれており、業者との良好かつ長期的な関係が伺えます。

 

店内全体を通した私の印象としては、「カルフールよりソツがなく安心できる店」というのが率直な感想です。逆に言えば「これはスゴイ!」と思えるほどの強力なサービスや品揃えがあるようにも感じませんでした。しかしそれは日本人的視点で見ているだけにすぎません。実際の所、中国で成功している台湾企業のほとんどは、「中国でまだ取り入れられていないものを、中国で違和感なくカスタマイズする」ことが非常に巧みという点が特徴です。日本企業が試みがちな自国での成功事例の踏襲やドラスティックな変化ではなく、『普段の生活を少し豊かにする範囲で新しい価値を提供する』、という台湾式のテクニックは、中国攻略の上で日本企業も大いに学ぶ必要があるのかもしれません。

 

 

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農業の6次産業化×中国=??

 

日本政策金融公庫から、農業の6次産業化に関する調査報告がでていた。

 

【参照】平成24年度 農業の6次産業化等に関する調査

http://www.jfc.go.jp/n/release/pdf/topics_130321b.pdf

 

6次産業化とは、1次産業の『生産者』が、2次産業の『加工』、3次産業の『流通・販売』までを手がけることで付加価値を生み出す施策のこと。農林漁業を対象に農林水産省が新たな事業創出の柱として推進しているホットワードの一つだ。本調査では農業を焦点に、現状の取り組みや課題点、今後の方向性などを詳細にまとめている。

f:id:kane201:20130328174627j:plain6次産業化のロゴマーク

 

今回の調査では、新たな販路として「海外輸出」という切り口もポイントに挙げられている。生産者へのアンケート結果では、海外展開の対象地域として「香港」「中国(本土)」が2トップに挙げられており、日中関係が険しい時期での調査においても中国の市場としての魅力は依然高いことが明らかとなった。

とはいうものの、香港はともかく、中国は「法規制」「コスト負担」「市場成熟度」というあらゆる面で戦う相手としては最もハードな国の一つ。中国で日本食品を扱う立場としては、もっとたくさんの食品が来て欲しいと願う反面、手が込んで少量生産の高額食品が売れる市場としては極めて限定的で非効率的という面は否定出来ない。

 

「高品質なものを富裕層に」みたいな売り文句は非常にキャッチーだが、中国の富裕層は実態が把握しづらくまとまりもない。特に食品においては、富裕層を囲い込むほどの強力なブランディングができている外資企業は、ごく一部の大手以外はほぼ見当たらない。結局のところ、ある程度のスパンを見越しつつ、まずは少量多品種で商品を中国にもちこみ、大量にはでないが安定的に量がさばけて継続性をもたせられるモデルを作ること。そこに6次産品も一部乗っけてじわりじわりと販路を作っていくのが現実的な施策かなと感じている。

 

・・・などと色々考えるが、この問題はもう少し定点観測しながらじっくり動かすべきビジネスお題なんだろう。ちなみにレポートの最後のほうで私もひょっこりコメントを載せているのでぜひご覧ください。

 

 

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