旧じぇーしん日誌(~2013.10)

日本商品を中国に売り込んでます

焼酎はいかがですか

 

先週、宮崎県に行ってきた。

 

今回の出張の目的は、県内焼酎メーカーとの商談と講演。現在、宮崎県とコラボし、上海の中華レストランに焼酎を売り込む企画を進めているため、その商品セレクトなどを行ってきたのだ。さすが本場宮崎ならではの個性あふれる焼酎をいろいろ見てきた。

f:id:kane201:20120710162403j:plain 商談の様子

 

中国で、日本の焼酎はどのくらい消費されているんだろうか。

財務省の貿易統計を調べてみると、現在焼酎の輸出先は中国が1位になっている。次いで香港、アメリカ、韓国など。ちなみに日本酒の輸出先はアメリカがトップで、その次に韓国、台湾、香港という順番。対中国輸出量でいえば、2012年1-5月は焼酎が368,800リットル(198,185千円)、日本酒が246,720リットル(147,477千円)と、実は焼酎のほうが量・金額ともに多いことがわかる。2011年は震災の影響で数量は一律激減しているが、それでも焼酎の輸出量のほうが多いのだ。うーん、なんだか意外だ。察するに、日本酒は特に高い税金を避けるため香港経由で横流しされている分も相当量あるのかもしれない。この辺りの中国統計データの信ぴょう性やいかに。

 

f:id:kane201:20120710193625j:plain 焼酎輸出統計(財務省貿易統計をもとに加工)

f:id:kane201:20120710193824j:plain ついでに日本酒輸出統計(同上)

 

以前のエントリーで日本酒について書いたが(参照1)、中国で日本酒と焼酎の置かれている状況は少し異なる。ざっくり言えば、

・中国で焼酎は日本人が飲むもの、逆に日本酒は中国人が飲むもの

・上海の酒問屋曰く、消費者は「焼酎が9:1で日本人、日本酒が7:3で中国人」

日本人はもちろん日本酒が大好きなわけだが、中国で飲むと特に高くつく(酒類の中でも輸入関税が一番高い)。現地生産の安酒はあるが悪酔いするのでおすすめできない。それを知っているから、日本人は中国で日本酒を飲む機会が案外少ないのだ。逆に、中国人はメンツも手伝って日本料理屋では日本酒を飲むケースが多かったりする。

 

ということで、現状、中国人は焼酎を好んでいない。というかあまり知らない。

理由としては色々挙げられるが、

・酒を割って飲む文化がない。「水やお湯で薄めるって貧乏臭っ」とすら感じる

・酒が好きな人にとってはアルコール度数が低い

・匂いが好きじゃない。芋、麦など原料が安っぽいと感じる

・日本の酒って言ったら日本酒でしょ?くらいの認識しかまだない

そもそも、穀物原料の醸造酒というカテゴリーでは、「白酒」という大先輩がいるので、新たに飲みたいとは思わないのだ。もちろん焼酎を好む“日本通"の中国人もいるにはいるが、ごく一部にすぎない。中国の人口スケールこそがこの市場の最大の魅力であるわけで、今後を見据えるのであればマスに売り込まない手はないのだ。

 

今回テスト販売を行う上海市内レストランは、価格は中の上クラスの人気上海料理店。メイン店舗は人通りも多いので流行発信地としても期待できる。ここのお客さんにどうやって飲んでもらうか?女性向けに甘い飲み物で割ってオシャレに飲ませる?日本色を押し出して緑茶等で割ってみる?それともあえて割らずにロック、ストレートで押し切る?アイデアはいろいろだが、まだまだ企画は検討中だ。期間は限られているが、実験的にあれこれチャレンジしてみたい。

 

それにしても、尖閣問題がまた沸騰しているらしく心配だ。

こうしたカントリーリスクは中国ビジネスをしている限りなくならないだろうな・・

 

参照1) http://jiexinsh.hatenablog.com/entry/2012/05/07/211211