内陸を目指すタイミング
先週、杭州に行って来た(5年ぶり2回目)。
上海から電車で約1時間の浙江省の省都。風光明媚な「西湖」が有名だが、近年では日系企業の進出も目立っており、経済発展が著しい新興地域としても知られている。あとは中国銘茶に数えられる「龍井茶(ロンジンチャ)」も有名か。市街は、車の混雑さとビル建設ラッシュでゴミゴミワイワイという印象。思っていたほど整然とした街並みではなかったが、それでも経済成長まっただ中の活気は十分見て取れた。
上海の南西
西湖
さて最近、日本企業の中国進出は『内陸』がひとつのキーワードになっている。
成都や武漢、重慶などがよく聞くところか。内陸というと微妙だが、上海周辺では蘇州、杭州、寧波、南京などを目指す日本企業も増えている。・・なんでだろうか。背景としては、各都市の所得向上→消費活発みたいな理由が挙げられがちだが、現場からは「沿岸都市部は競争が厳しすぎるから」という意見も結構耳にする。
たしかに、いまや上海市内の小売店では世界中のあらゆる商品が集まっている。食品なんかは、ただ棚に置くだけでは埋もれてしまうこと間違いない。なので、売るためにはやれプロモーションだ、やれ試飲・試食だ、と販促努力を行わないといけない。人件費も高い。商品サイクルも早い。トラブルも多い。あーだこーだ。そんなわけで、競争がまだ沿岸部ほど厳しくない内陸都市に向かうというのは自然な流れかもしれない。
しかしこれ、輸入食品の分野でいえば、まだ少し早いかなと内心思っている。
例えば輸入食品展みたいな大きな催しがあれば、なんかお祭り感覚で、高額な商品でもよく売れる。でも平時では大抵売れない。理由はもちろん高いから。生活になじまない食品はなかなか一般化しない。これは上海でも悩まされる問題だ。そもそも、単価が低い食品は継続的な商いをしないとどうしてもメリットがでない。高価な陶器や貴金属などであればイベントで売りさばけば一商売になるんだろうが、食品は「売ってハイ終わり」では旨みがない。
輸入食品が一般化する、というのはつまるところ食生活が変化すること。しかし内陸都市では、まだそこまでの変化は起きていないかなと思っている。この点では、上海や北京などが成熟度としてもやはり頭ひとつ出ていそうだ。もちろん、体力がある企業は今のうちからガシガシ内陸を攻めて市場を作っておくべきかもしれない。 この「内陸に向かうタイミング」が、企業規模や戦略、商品特性によって変わってくるので悩ましいところだ。
@杭州
杭州。すでに高級ホテルやブランドショップがあちこちに並んでいる。
日本人も、日本企業も、日本の商品も、ずんずん増えますよたぶん。今後間違いなく日本の食品がドッと売り込まれる場所になるだろうなぁぁ。。と眺めつつ、さていま僕らはどう動くべきなのかなと改めて課題を持ち帰った杭州出張でした。