旧じぇーしん日誌(~2013.10)

日本商品を中国に売り込んでます

ある中国人女性の転職グチ話

 

中国人の友人が、現在転職活動をしているらしい。

 

彼女はいま、上海にある某日系企業の財務部門で働いている。専門資格も有している。日本語はカタコトながら、基本的なコミュニケーションは問題ないレベル。そんなわけで今もそれなりの給料はもらっているのだが、上昇志向の強い彼女は、「日本人でないと出世ができない」企業体質に不満を抱き、現在空き時間を使って転職先を探しているんだそうだ。まぁ日本企業にはありがちな話だろう。

 f:id:kane201:20121110161853j:plain中国の転職はステップアップ

 

もともと彼女は大の日本びいきで、10年前位に日本のドラマの面白さに目覚め、そこから日本語を独学で勉強しだしたという。また日本の文化の高さや成熟した社会性にも強い敬意を抱いており、先の尖閣デモの際も中国の文化レベルの低さをさんざん嘆いていたほどだ。

 

という彼女なので、次の転職先についても、「条件さえよければ日系企業がベスト」との希望をもっていた。しかし、すこし時間が立って状況を聞いてみたところ、「最近は欧米系企業にシフトしてきている」と言っていた。理由を尋ねると、案の定、給与面の問題だという。

 

「日系企業の求人は元々条件が悪かったんですけど、それでも私は日本が好きなので、ある程度は平気と思ってたんです。でも、最近はとくにヒドくて・・・」と彼女は語る。ヒドイとはどういうことか?彼女曰く、「求める技能は高いのに、他と比べて給料が明らかに安い」んだという。「この前なんて、日本語上級、専門業務経験3年以上、資格必要の求人が月給5000元~(約65,000円)っていうのもありました。正直、馬鹿にしてるのかと思いました」と語気を荒げていた。そうか・・・まぁ確かに上海では、もう5000元で有能な人材が取れる市場ではなくなってしまっている。この点で、日本企業がどれほど相場観をもっているのかは疑問を持たれてもしょうがないのかもしれない。

 

彼女の止まらない愚痴を聞き流しながらも、しかし彼女なりの企業傾向分析は興味深く聞いていた。彼女自身も中国企業1社、日本企業2社という経歴なのでどれほど大局的に見れているかは不明だが、一人の中国人ビジネスパーソンの意見として耳を傾ける価値があるように思う。以下は彼女の意見を要約したもの(筆者作成)。

・会社別メリット/デメリット

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※内容は彼女独断の意見です、念のため。

 

色々言葉足らずの面がありそうだが、ひとまずこんな内容だった。

彼女にとってすれば、今回の転職活動を経て「日系企業のデメリットが1コ乗っかった」という認識でいる。そのため、彼女ほど日本が好きで意欲の高い人であっても、さすがに欧米系や中国系を考えざるをえなくなったというのが実情らしい。

 

自分は人材業界についてなんの知見もないが、今回たまたま一人の中国人を通し、「上海の転職市場における日系企業の立ち位置」について考えさせられる契機となった。もちろん、彼女の意見が正しいかどうかは不明であり、求人条件の変化についても実は以前から変わっていなかったのかもしれない。あくまで彼女個人の主観だ。しかしながら、最期に彼女が投げかけてきた疑問はなかなか日本人の我らに考えさせられる問題だったりする。

 

「日本のことが好きで日系企業で働きたいと思っても、たぶん優秀な人になればなるほど、今の状況では残念ながら日本企業は選べません。この状況を日本の経営者の人達はどう思ってるんですかね?」

 

いま日本の企業はどこも経営が苦しく、また中国事業は再編を余儀なくされるところが多い。といってもそんなことはもちろん言い訳にできるわけもなく、企業がグローバル化に打って出れば人材確保もグローバル化にならざるをえないわけで。そうなると、人材獲得競争もますます激しくなるんだぁ、としみじみ感じたのでした。