おとなり寧波の市場性
出張で寧波(ニンポー)市に行ってきました。
車で約3時間
浙江省随一の経済発展都市であり、富裕層が多いことでも知られる寧波。これまで仕事で絡んでいたにも関わらず、なにげに初訪問でどうもスミマセン。今回は市場調査業務のため、市内店舗の視察や、市政府及び現地バイヤーの方々に話を聞いてまいりました。
全体の雑感としては、噂通り金持ちが多い街だなと感じました。外資系の高級ブランドショップもどんどんできてますし、欧米系の高級レストランや高そうな和食料理店もたくさんありました。また街の景観が実に綺麗で、上海の路地裏的な雑多さはあまり見かけませんでした。この点、杭州と比べて政府主導の街づくりが進んでいるのかなと感じた次第です。
綺麗な街並み
貿易局の輸入商品センター
また寧波の食まわりについて。今回はこれがメインの調査ですからね。寧波料理は伝統的に海の幸をふんだんに使っており、また素材の味をそのまま活かすような料理法がメインのようです。なので日本人の舌にはよく合いますね。中華料理屋にいながら「あぁ日本酒が飲みたいな」と思わせてくれます。そんな寧波料理ですが、最近の寧波人は中華料理でもワインを愛飲します。もちろん白酒や紹興酒も飲むには飲みますが、寧波市ではワインの消費増大が目覚ましく、寧波の港においても食品分野では欧州からのワイン輸入が多数を占めているんですね。
市内スーパーのワイン売り場
輸入食品においては、前述のワインが寧波市政府として今最もプッシュしている商材であり、保税区の展示センター等でも欧米企業がブースを構えて大きく宣伝していました。寧波は港湾都市ということもあって、かつては輸出産業が活発でしたが、内地の所得向上もあり、ここ数年は輸入にシフトしつつあります。その中で欧州ワインや粉ミルク、果物、コーヒー、米、オリーブオイルなどが輸入重点項目として注目されてきているんですね。ちなみに日本からの食品はというと・・・現状はほとんどありません。一部市内に流通する日本産食品は、上海や深センから入ってきたものが大半でした。
かつて寧波で輸入食品ビジネスをされていた日本人の方が言っていましたが、「寧波は富裕層の数が多いが、上海と比べて成熟度が高くない。そのため、消費は家や車などにまず集中してしまい、食事についても派手な高級中華でワイワイ食べることが彼らの贅沢になっている。」という感想が印象的でした。このあたりの視点は同意です。「未開市場に乗り込むタイミング」というのは本当に難しいもんだと日々感じる次第ですが、中国歴ウン十年の方からみれば「15年前の上海だって同じようなもんよ」という意見もあるように、結局のところ、強い意志でもってエイヤ!で飛び込む先走り企業こそが次の成功者たりえるのかなとも感じます。
日本料理屋のメニュー。。
当社も寧波市政府とはたまたまツテが合って比較的優遇されうるポジションにいます。そうはいっても扱うものが食品ですので、最終的には消費者の食文化の変化にアジャストしていかなくてはいけないのが実情です。そんな中で、寧波の今後10年の市場性をどうみるべきか。結論をいえば、今のうちに攻めない手はないだろうと感じています。当社もこれまでは手が回らず“近からず遠からず"の関係でいましたが、今後はもう一歩踏み込んで寧波市場にアプローチしてみようと目下計画中です。
上海市場の競争激化が叫ばれて久しくなりました。取り巻く状況の厳しさに気づいた各社は、上海を軸にプラスワン、プラスツーの新たな市場を探しています。そこに寧波がどれだけ存在感を高めていけるか、今後数年は勝負の年になるのではないでしょうか。
当社も「来年が勝負が年!」と言い続けて早やウン年。
とりあえず年内にしっかりレポートまとめて、気持ちよく年を越したいと思います。
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