旧じぇーしん日誌(~2013.10)

日本商品を中国に売り込んでます

難しい問題から解き始める覚悟がありますか

 

「テストを受ける時、難しい問題から解き始める生徒と、簡単な問題から解き始める生徒がいる。しかし試験に受かるのは、簡単な問題から解く生徒だ。」

 

先日、某クライアントの方から聞いたお話です。又聞きなので細かい言い回しは知りませんが、この発言、日本の某会合で大手食品メーカーの役員の方がおっしゃったセリフだそうです。何を言ってるかというと、日本企業の海外進出と、中国市場の関係を表した例えなんですね。正直、上手いこと言うもんだと感心してしまいました。

 

毎年5月、上海では「SIAL CHINA」という国際食品展示博覧会が開催されています。世界中の食品が集まるBtoBイベントですが、今年はここに日本ブースが設けられません。理由は、運営を務めるJETROの公募に参加する企業が集まらなかったためです。昨年までと違い、参加費用がかかるといった違いはあるとはいえ、中国本土市場に対する日本企業の“変化”を象徴する出来事だと感じています(もちろん、個別でブース出店をする日本企業はあると思います、知りませんけど)。

f:id:kane201:20130417181627j:plain 昨年の日本パビリオンブース

 ※2013のURL→http://www.sialchina.com/

 

でもって、ここのところ中国に対する不安要素は経済だけに及びませんよね。

 

尖閣諸島の反日デモ⇒基準値超えの大気汚染⇒豚の死骸が浮かぶ河⇒鳥インフルエンザ⇒???。これ、わずか半年足らずでの出来事です。次はいったい何が攻め込んでくるのでしょうか。中国人スタッフは「最近の鳥インフルエンザは10年前SARSが流行り始めたころによく似てますネ!」とか平気な顔で言ってきます。うーんたくましい。

 

中国はいろいろ面倒です。またいつ事件が起こるかわかりません。まずは簡単な問題(他の国)から解き始めたほうがいいのかもしれません。機を見るに敏なコンサルタントは、かつては「中国進出支援」を売り文句とし、いまは「中国撤退コンサル」「ASEAN進出支援コンサル」を標榜しています。変わり身の早さも商売には大事でしょう。

 

一方で、実はここのところ、他業種の方から進出相談案件を多数いただきます。ITや広告やインフラ業界の方々など様々。皆さん日本で本業をしっかりされつつ、中国で新規事業を模索されているようです。 率直な疑問として、「なんでいまこの時期に中国に来るんですか?」と質問しました。すると、「何言ってるんですか、今こそチャンスでしょ」「私、逆張りが好きなんですよ」というアグレッシブな答えが返ってきます。僭越ながら、こうした精神こそ、彼らが日本で一定の成功をおさめた要因なんだろうなと思えるわけです。

 

f:id:kane201:20130417182627j:plain 中国の市場はこんなの普通!

参照:http://china.northnews.cn/2013/0406/1080671_2.shtml


中国はいま多大なリスクを抱えつつ、それでいてカオスにチャンスが溢れる国です。万華鏡のように見方次第で様相を大きく変え、人によっては大きな恩恵を、人によっては取り返しのつかない損失を与える国です。こうした現実を知ると、私も日中の間で仕事をしている立場ですが、渋る企業の尻をひっぱたいて「中国を!中国を!」と 言い続けるのもなにか違う気がしてきます。他人任せの会社はどのみち失敗します。一方で、どれだけネガティブ要素があろうと、リスクを取って中国市場に立ち向かう企業さんは一定数あるのです。そんな彼らを個別で一本釣りし、しっかりサポートし、一緒に市場開拓していくことこそ、当社のミッションであり生き残る道なんですよね。長々つらつらと書きましたが、ただこれだけが言いたかったので新年度一発目のエントリーを書いたのでした。

 

そんなわけで、難しい問題、がんばって解いていきましょう。

 

【訂正】4/23

SIALではJETROブースは小規模ながら設置されることになったようです。