旧じぇーしん日誌(~2013.10)

日本商品を中国に売り込んでます

乱発ぎみの日本式ショッピングモール

 

最近、上海で「日本商品に特化したショッピングエリア」系の話をよく耳にする。

 

まずは「日本商品センター」(参照1)。上海市第12次5ヵ年計画の重点プロジェクトとして上海市長寧区政府が委託したという保税販売施設で、流通・販売・プロモーションまで一括管理するという一大プラットフォームとの触れ込みだ。

また、上海の中心地「中山公園」の商業区で、日本の飲食店や衣料品、特産品ショップなどを揃えた日本風ショッピングモールの建設が発表されている(参照2)

さらに直近では、中国の国営デベロッパー等が中心で進めている大型商業施設「JAPAN TOWN」も現在テナント募集を進めているらしい(参照3)。

その他にも、大手百貨店内にて日本食街を作るなどの話も聞かれるなど、大小まじえた日本くくりの施設企画が多いなぁ~と感じる。

 

で、こうした日本ショッピングエリアのモデルケースとしてよく挙げられるのが、上海随一の繁華街と言われる徐家汇の、美罗城(メトロシティ)内地下1Fにある「五番街」だ。上海に住む日本人なら言わずと知れたショッピングストリートだが、日本の日用雑貨から菓子の販売、レストラン、カフェ、ゲームセンターなど複数の日本企業テナントが並び、週末は老若男女でごった返す人気エリアの一つだ。

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 f:id:kane201:20120814171606j:plain 五番街

 

では、冒頭に紹介した試みが、五番街のような人気スポットになるのか?というところだが、実際のところ、スタート台に立つまでの道がまず険しいらしい。え、そこから?

 

前述の「日本商品センター」は、当初は虹橋空港内での保税販売というコンセプトで注目を集めたが、その後立地が空港から古北二期という場所に変更し、さらに別の場所(四川北路)に移動するなど迷走感が否めない。オープンは今年中とのことだが、すでに伸び伸びのスケジュールがさらに遅れないかと心配されるところ。中山公園の日本風ショッピングモールについても、当初は2012年3月オープンと報道されていたが、見る限りいまだ絶賛工事中だ。JAPAN TOWNについてはまだ続報は聞かないが、前2つの例を見る限り、「ここは大丈夫かねぇ?」と見る向きが多いのは自然なことだろう。

 

「これだから中国は・・」という声が日本から聞こえてきそうだが、まぁしょうがない。確かにそういうもんだ。

中国ビジネスに慣れた人であれば熟知しているところだが、「最初に大きなことをぶちまけ、後で詳細が変わる」のは中国ビジネスの肝だ。これは短所でもあり長所でもある。悪く言えばいい加減、良く言えば柔軟。そのままうやむやになって立ち消える話も多々あるが、うまく状況に適応させて軌道に乗るケースだって少なくない。上述の大型施設がどうなるか・・は雲行き怪しい案件もあるものの、早計に見切りをつけなくてもいいかな、という程度に見ておいていいのかもしれない。中国ではどんな案件でも特に初期段階は振り回される。オープン初日にまだ工事中のイベントだって珍しくないのが中国だ。

 

 

とはいえ、仮に当事者となった場合、こうした事態に寛容でいられるにはある程度の余裕が必要ですよねもちろん。中小零細企業が、社運をかけたチャレンジでいきなり飛び込んでくる類の企画ではまずない。そうした企業においては、まずはオープンして客入りをみながらじっくり検討していいのでは?と思いますね。先日も相談が来たのでそう言っておきました。

 

まぁ、こういう案件はどうしたって中国企業が主導になるので、結構な部分が中国式のやり方になることは覚悟しとかないと、後々モメ倒して泣く泣く日本に帰るハメになるやもしれません。決断は慎重に、実行は大胆にですね。

 

参照1) http://www.jp-fair.com/jp/about.html

参照2) http://j.people.com.cn/94476/7443652.html

参照3) http://www.jpn-town.com/news/press/20120515.html