旧じぇーしん日誌(~2013.10)

日本商品を中国に売り込んでます

反日デモの週末 と 今後の影響

 

日本のニュースでも大きく取り上げられた中国各地での反日デモ。

過激な映像とともに報じられた先週末(9/15,16)の暴動ぶりは、このブログであらためて説明するまでもなさそうなので割愛する。被害にあわれた現地の日本人の無念さは計り知れない。ぜひ現場の想いを発信していってほしいと思う。

f:id:kane201:20120917192125j:plain デモの様子

f:id:kane201:20120917194153j:plain 青島ジャスコの暴動後

 

・・さて上海はというと。

先週からしばらく日本人に対する暴行事件などが報道されていたため、治安悪化が懸念されていた。週末のデモでは、人だかりはできたものの、領事館周辺の警備が行き届いていたためか大きな暴動には至らなかったようだ。近くの日本料理屋などは18日まで休業して嵐がすぎるのを待つらしいが、その他の地域では普段と変わらず営業を続けている。

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9/13に在上海日本国総領事館HPでアップされた警告

http://www.shanghai.cn.emb-japan.go.jp/life/new120913-j.html

 

とはいえ足元を見ると、我ら日本人の中国ビジネスにはいろいろ影響がでてくる。

【今後の中国ビジネスの影響(当社目線)】として4つほど。

 

1.在中国の日本イベントが中止

上海観光祭に参加を予定していた大阪市と香川県は主催者の意向により出展をキャンセルし、中国民航総局長と福島県知事の会談も流れた。外文局長の訪日も延期となり、日本側も国会議員の訪中予定が軒並みキャンセルになった。遼寧省瀋陽市で行われる「国際農業博覧会」や浙江省紹興市で予定された「ジャパンウイーク」もすべて延期・キャンセル扱い。とにかくこの時期のイベントはほぼすべて白紙になった。

 

2.日系企業の工場や日本料理店などが営業停止

生産ラインが止まる。営業がストップする。だけならまだしも、暴動による破壊行為で営業不能状態になってしまう事態が各地で起こった。中小零細企業が、修理・修復にかける分の費用を利益で取り返すのに今後どれほどの苦労をしいられるか・・・。

 

3.日中貿易が滞る

当社的にはココがかなり心配。噂では上海港で日本からの貨物が全量検査を義務付けるとか言われている。全商品は実務的に難しくても、締め付けが厳しくなることはほぼ確実。また抜き取り検査で商品が無作為に取られるわけだが、その数量も嫌がらせ的に増えるだろうなと現場から心配の声があがっている。

 

4.日本企業が中国進出を避ける、もしくは撤退する

これから中国に進出したいという企業のモチベーションを明らかに下げている。いま進出している企業も「こんな国にいられるかぁ!」と言い出しかねない。こうした海外に目を向けている企業が、中国以外のアジア市場にシフトする。有望市場は中国だけではもちろんない。長期的にはここのダメージが一番大きくなってきそうな予感。

 

あとは二次被害的に、日本企業への求人が今後厳しくなりそうとか、日本商品が避けられるとかが考えられるか。ただ救いを言えば、前述のとおり上海はやはり他地域とくらべて理性的で、過度に暴動化しなかった点は大きい。また市内の店舗でも、日本商品を撤収するなどの強行措置をとらなかったので、ビジネス的には大きな影響がなかったのでひとまず安堵しているところだ。

 

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残念ながら、今回の一件で日本人の嫌中感がより一層強まったのは間違いない。

日本の友人からも、「心配しています。無事ですか?」「しばらくは外に出ないほうがいいよ」というようなメッセージをいくつももらった。しかし、当の本人はいつものように中国人の友人と中国語の相互学習を行い、その後ランチをして散歩をしながら家に帰った。秋風すずしい穏やかな上海の週末を満喫することができたのだ。

 

 f:id:kane201:20120917190746j:plain 「反対暴力 理性愛国」の紙をもつ若者

 

中国はなかなか一言で語れない。「外では日本人であることがバレないように!」と領事館等からも言われていたが、カフェでコーヒーをこぼした凡ミスの際も、店員さんは笑顔で素早く対応してくれたし、隣に座っていた中国人女性も紙ナプキンを渡してくれた。当然 、日本人であることはバレていた。それ以前に、安全を気遣って連絡をくれる会社の中国人スタッフや、このデモを日本人以上に怒ってくれる中国人の友人たちが周りにいるなかで、「やっぱ中国人って民度低すぎwwwワロタ」みたいな軽口はなかなか言えないのが正直なところだ。

 

もちろん「中国人良い人!中国大好き!」と声高らかに言いたいわけではない。ただ、日本時代であれば「なんだァ!中国人のやつらァ!」と簡単に言えた文句の一つも、いまなかなか口から出ないのは、中国人にも同様に思慮深く親切な人が多く、また同じように社会を憂いて現状にもがいている人がいるんだな、という現実を知ったからにすぎない。無力な限りだが、今の状況を劇的に改善できるすべをもたない自分たちは、ただ粛々と目の前の中国人と一緒に信頼を築き、ビジネスをする中で社会に貢献するしかないと考えている。

 

明日18日は柳条湖事件から丸81年ということで、再び反日デモが予想されている。これ以上の事態にならないことをただただ祈るのみ、というのがなんとも寂しい。

 

明日も皆様どうぞご安全に。。。