旧じぇーしん日誌(~2013.10)

日本商品を中国に売り込んでます

デモで揺れた中国のその後

 

こちら反日デモから2週間が経った中国上海です。

現地の様子をお伝えします。

 

上海はというと、「あの騒動は何処に?」ってくらい元通りの日常に戻っている。

街には日本商品も通常通り並び、日本飲食店もコンビニも通常通り営業している。よくみれば「ウチは台湾企業の経営です」みたいな張り紙がまだ貼られたりはしているが、特に気にする人もいないようだ。といっても、上海在住の日本人は、まだ外で日本語を喋ることを極力控えるようにし、スーツ姿は目立つので私服っぽい着こなしになり、深夜のKTV(カラオケキャバクラ)も我慢(?)しているというような話を耳にする。そんな日本人の警戒をよそに、街の様子は、すでに中秋節・国慶節の大型連休を控えてみなバタバタと自分のことで精一杯という空気が流れている。

 

上海は常にせわしない。変化も激しいし事件もトラブルも多い。忘れっぽい性格は案外悪いことではないのかもしれない。

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国慶節は建国記念日のこと。今年は中秋節もセットで1週間ちょい休みになる。

 

ビジネス的な近況でいうと、当社の例で言えば最も懸念されていた貿易通関の点は思っていたほど影響は出ていない。日本からの商品は全品検査が入るなどの報道も目にしたが、実際は通常よりやや厳しいかな?程度のものであり、ただでさえ不安定な中国通関手続きを考えれば、十分「普段通り」と思える範囲のものだった。実務的はもう少し続いているので最後まで気は抜けないが・・

 

一方で、案の定影響を大きく受けてしまったな、というのが日本関連のイベント、企画の相次ぐ頓挫。まず日本からの要人が来なくなる。それを受けて現地でのイベントもキャンセルになってしまう。中国側から見送りの通達をもらうことも当然あるが、日本側としても「いま行っても・・・」という思いが強そうだ。日中国交正常化40周年記念イベントなどを筆頭に、現場で長い間準備にとりかかっていた人はさぞ無念だろうなぁと同情する。

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2012日中国民交流友好年 http://jca40.org/about/

 

中国人消費者の購買意欲の面でいうと、「普段通り」と答える店もあれば、「影響あり」と答える店もあるので一概には言いがたい。しかし上海はやはり中国で最も成熟している街らしく、政治と経済を分けて、というか政府と個人の生活は完全に分ける思考を持っている人が多いようで、影響も非常に限定的と感じられる。日本企業にとっても、上海という市場メリットをもう一度考えておくべき点だと思う。

 

今回の件で、中国に住む日本人は、それぞれが日中関係を“我が事”として真剣に考え直すきっかけとなった。「いやぁ、とりあえず家族は日本に一時帰国させましたよ」という日本人駐在員や、「やっぱり中国とは分かり合えないんだ・・」と10数年の在中国経験を経て悟ってしまった人、「今こそチャンス!」とさらにビジネスで意気込む人、「どうせ日本に帰る場所なんてないし!」と開き直ってさらに現地化を突き進む人、本当にいろいろな反応があった。

 

当社は中国資本の会社であり、日本人は自分だけ、あとは全員中国人だ。「戦争になったら会社はどうする?」なんて会話が出てしまうほど、現場的には本当に緊迫した瞬間があった。もちろん会社は続くし、日本の食品をこれからも変わらず中国に売る。来年の春節前にはヤオハンで物産展もやる。しかも日本商品だけで。当然、これからまださらに大小トラブルが発生するだろうが、それを懸念してたじろいでいたら、中国ではなにもできない。「やるったらやるんだぃ!」という、頑固さと無鉄砲さと慎重さをブレンドしたような強い意思で進んでいくしかないのだ。

 

中国では政治指導部の移行が11月で確定し、日本も政治色が強くなってきた。先日の自民党総裁選の後、中国人は「とりあえず石原さんの息子じゃなくてよかったネ」と言ってきたが、こっちの身としてはまさにその心境だ。タカ派でもいいから爪は隠しといてくれと。政治の安定なくして経済は発展しないんだなと改めてわかった。

 

そんなこんなで、明日30日から、中国はしばし平和な休日モードに突入する。連休明けにどうなるか、政治家がまたあらたな火種をもってくるか。それとも妥協に向かうか。願わくば、休みと一緒に中国人の怒気も一緒にぬけてくれればいいなぁと呑気に願っています。

f:id:kane201:20120929171825j:plain なんかもう収まる気がしない

 

以上、上海からお伝えしました。それではよい中秋節・国慶節を。